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やっぱり事態が飲み込めない恭弥は、左手の腕時計が指し示す時刻を気にしながら、待ち合わせの人物を思い浮かべる。
待ち合わせの時間まであと二分。
今のハデスと外人女性の会話からして、自分を入寮式に行く前に迎えに来てくれる手筈の男とは、まさかこの目の前の人物では…。
「入学式は午後から……その前にお前は入寮式あるから俺は理事長サマの命令で迎えにきてやった。時間食ってたら、小ウルセェのも来たし、んじゃ行くか」
くいっと顎をしゃくって、ハデスがぶらぶらと歩き出す。
傍らの女性を見やると、
「自己紹介はあとでね。貴方に逢えて本当に嬉しいわ」
魅惑的にウインクされて、恭弥の体温が確実に三度は上昇した。
(このとき‥俺は知らなかった。世界一流されやすい性格の俺が、あまりにも大変な人生へ突入させられることを)
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