6人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
「星がきれいですね」
「そうだな」
見上げれば空いっぱいに満天の星
私は慣れたように彼の手を握り
なんとなく冬の大三角形を探す
冬のくせにあったかい。
そんな時間を私たちはもう
何年も過ごしてきた
「今は」もう慣れてしまった
でも、「昔は」お互い苦労したよね
「…あの」
大三角形を見つけた私は
手に少し力をいれて話しかける
「ちょっと昔の話をしませんか?」
「いきなりだな」
そう言いながらも手を握り返してくれる
「なんだか学生時代が懐かしくなって」
「ああ、いいよ。たまには思い出さないと、年をとったら忘れてしまうからな」
ちょっといたずらっぽく笑って
私たちは歩んできた道を振り返る――
最初のコメントを投稿しよう!