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逃走
舞嘉と目が合った土方は普段長細い目を満丸なお月様の様に見開かせた
「…出てくるのはちょっとはやかねぇか」
「……土方さん…」
後頭部を乱暴に掻きむしり、土方はため息をつきながら言った
また、舞嘉も土方と目が合えば少し眉間にシワを寄せて土方の名前を呼んでいた
「ったく。こんな日にまで仕事増やすなよ」
「私だってこんな大勢の人に囲まれたくありませんよ」
しかも武器向けられるだなんて。
だいたい、事の発端はあの蛙声であって舞嘉達は何も悪い事をしていない
むしろ良い事をした方である
「お前が騒ぎを起こしたのか?」
「騒ぎ…?」
「子供一人に対して五人の侍が情けねぇ事してるって山崎に聞いてな」
あぁ、あの蛙声か
「それなら先程私達が」
「しめたなぁ」
舞嘉の言葉の続きをゲラゲラと以蔵が笑いながら言った
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