春は、もう

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僕の頭の中には 彼女に言う一言ばかりが ぐるぐると走り回っていて 卒業式なんて 正直どうでもよかった。 式も終わり、 教室へと向かい、 クラスでのお別れ会が 始まる。 両肘を机について、 ちらりと視線を隣に向けると 彼女と目が合った。 目が合うと思わず、 勢いよく目をそらすと、 「なんでそらすの。何?私の泣き顔は見たくないわけ?」 と彼女は僕に向かって 笑いながら泣いている。 と同時に先生が最後の挨拶を終え、 全員席を立ち、 涙ながらにかばんを持って、 教室を後にする。
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