春は、もう

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その時、 後ろから呼び止められた。 振り向くと、彼女だった。 「写真、撮ろうよ」 彼女は3年間、 僕に見せてくれた笑顔でそう言った。 二人で写真を撮る。 肩と肩が当たって、 いつものことなのに 心拍数が急に上がる。 「はいチーズ」 彼女の低い声が、 体を伝って響いてくる。 フラッシュが顔に当たり、 思わず目をつぶってしまう。 頬が熱を帯びて、 鏡を見なくても赤いことが分かる。 こんな顔を見られたくない。
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