土佐の身分制度

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 しかし、厳しい身分制度もそれだけ長く続くと、敷いたげられて来た者の不満も募り、制度自体に歪みが生じ始める。そこで、その問題を解消しようと考えられたのが『白札』と言う制度だ。  白札は、階級的に上士と下士の間の身分であり、下士からの取り立てもある“上士格”の懐柔的な身分として急場凌ぎで生み出された制度なのだ。  だが、この制度により表向きは解消されたかにみえた不満も、その全てが解消するまでには至らなかった。内々に問題を抱え、そのまま今日を迎えているのが土佐の国と言う訳だ。  このように、代々山内家は厳しい身分制度を設けて下士を抑え付けて来た。その為、上士と下士の対立は深まり、今やその不満は暴発寸前と言ってもよかった。  そんな因縁が、この土佐では長く続いていたのだ──
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