龍馬の将来

6/17
前へ
/220ページ
次へ
「何ちや、おまん…さっきまでしょう(非常に)しょげちょったろうが…」  饅頭一つでコロッと元気を取り戻す龍馬、何とも現金なものだと半平太も呆れるばかりだ。 「まぁ、変わり身が早いがは、おまんらしいがのぉ…」  ──と、半平太は苦笑する。 「武市さん、おかげで元気が出たちや。ありがとう!」  屈託なく笑う龍馬の顔が、また何とも清々しい。こんなにも嬉しそうな笑顔をされては、半平太も怒るに怒れない。  そんな二人の後ろから、何気ない声が掛けられた。 「ありゃあ!?武市さんに龍馬じゃいかぁ…」  聞き覚えのある声に龍馬と半平太が即座に振り向く。すると、釣竿を携えた山本数馬がそこに立っているではないか。 「二人揃うて、こがな所で一体どういたがですか?」  親しげに歩み寄り、数馬は無遠慮に龍馬の隣へと座る。 「数馬こそ、釣竿らぁ持って、これから釣りかえ?」 「いやぁ、釣りは止めじゃ止め!今日は全く釣れんろう…」  半平太の問いに数馬は大きな溜め息を漏らす。朝から釣りに興じていたらしいのだが、芳しい釣果とはならなかったようだ。 「数馬、おまんもどうぜ」 「おぉ!大里屋の饅頭じゃな」
/220ページ

最初のコメントを投稿しよう!

292人が本棚に入れています
本棚に追加