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得意満面な龍馬に、半平太の一言が突き刺さる。事実、古代中国の処刑方法の一つに、男性器を縛り、そのまま壊死させると言うものがあった。
「え?そうなが…」
「龍馬…まっこと、おまんはアホじゃのぉ…」
無知を晒す龍馬に、数馬が容赦なく突っ込む。
「全く…数馬も龍馬も、えい加減にしぃや!」
二人を見兼ね、半平太も半ば呆れたように仲裁に入る。
「まぁ何にせよ、“のほほん”と呑気にしちゅう方が、おまんらしいきのぉ!」
最後にそう付け加え、数馬はニヤリと笑う。『のほほん』と言う形容が、誉め言葉ではないくらい龍馬にも察しが付く。
「そう言うたら龍馬、おまん、学問や剣術はまだやらんが?」
齢も十を数える龍馬だが、未だ塾にも道場にも通っていないのが実状である。半平太はそれを憂いていた。
「お乙女姉やんに学問や剣術は教わっちゅうけんど、これがちっくとも身に付かん!」
臆面もなく龍馬が笑う。だが、このままでは武士の子として面目が立たない。
「さっきも言い掛けたけんど、おまんは侍の子やろう?このままでは、いかんちや!」
優しく、諭すような半平太の言葉に龍馬もうなずいている。
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