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「アシの父上も、おんなじ事らぁ言うちょった…けんど、どういたらえいか、アシにもさっぱり分からんがぜよ!」
などと返す龍馬、どこまで本気なのか真意が全く掴めない。
「おまんは、ぎっちり真剣味が足りんちや」
数馬は身を乗り出し、龍馬へと迫る。半平太も、数馬の意見には同意のようだ。
「アシやち、まっこと真剣にやっちゅうがよ!」
反論すればする程、龍馬の言葉が嘘くさく聞こえて来る。
「龍馬、このままでは、おまんは坂本家の廃れ者になってしまうがぜよ!それでもえいが?」
半平太の言葉に、龍馬はみるみると顔色を失う。
「それだけはいかんちや!そがな事になったら、アシはお乙女姉やんにこじゃんと叱られてしまうがぜよ…」
今朝の出来事を思い出し、龍馬は愕然とする。そんな彼を、さらに戦慄させる事態が起こった。
「龍馬!おまん、こがな所におったがか!?」
気が付けば、土手の上に乙女が仁王立ちに立っていた。
「あひっ!?お乙女姉やん…」
姉の姿に後退る龍馬だったが、次の瞬間、助け船のようにやべが現れた。まさに、地獄に仏と言った心境である。
「お嬢さん、坊さんおったがですね?」
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