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それを聞き付け、大里屋の軒先には龍馬の悪友達が集う。饅頭を頬張る彼を囲み、ワイワイ騒いでいた。
「おまんも、しょう大胆な事らぁしよったのぉ…」
まず、口火を切ったのは望月清平である。清平は、龍馬の家より程近い小高坂に住む白札郷士望月家の長男だ。
「屋敷を飛び出した理由が、よばれじゃあ言うき、まっこと大したもんぜよ!」
「さすが、龍兄やんちや!」
続いて、清平の弟である亀弥太が一連の出来事を茶化し、池内蔵太がこれに追随する。
三人とも、気心の知れた幼馴染みなだけに全く遠慮がない。龍馬の気苦労など、お構いなしに好き放題に言い放つ。
「清やんも亀やんも内蔵太も、みんなぁ、おもしろがっちゅうけんど、アシはこじゃんと叱られて大変やったがやぞ!」
龍馬からすれば、少しは愚痴りたくもなると言うものだが、相手がこの三人では、いいように話のネタにされるだけである。
「まぁ、みんなぁが、おまんを心配しちょったゆう事じゃろうが?よかったじゃいか」
──と、清平が言う。確かにそうなのだが、他人から言われると何とも釈然としないものだ。
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