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すべての始まりはこんな感じだった。
「店長!お願いしますっっ!」
足にギブス嵌めて情けねぇ格好しているバイトくんが、これまた情けねぇ面で俺にすがる。
そんなやりとりの間にあるのは、1枚の紙切れ。
その紙にはしっかり『合格通知』と印字されていた。
「ヤだよ。なんで俺が行かなきゃなんねぇーんだよ。そーいうのはな、紀章くんに頼めよ」
「元はと言えば店長が俺の足にビール樽落としたのが原因じゃないっすか―!」
「ばっか、タケがゴキブリごときで急に手ぇ放したからだろーが!完全にお前のせいだろ」
遡る事、数日前――。
“タケ”ことこの骨折男は開店準備中に俺とビール樽を店に運んでいた。
そん時に俺がゴキブリ見つけて、
『あ、ゴキブリ』
って呟いただけで情けねぇ声で叫んだ挙げ句、自分の足にビール樽を落として骨を折った。
それを俺のせいにするなんて……、しつけのなってねぇバイトくんだ。
「いやいや、店長のせいですよ!結局、見間違いだったじゃないですか~!」
「あ~うっせぇ。ヤなもんはヤなんだよ。他当たれ」
そんなやりとりしてる時だった。
俺の宿敵が現れたのは……。
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