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「別にそんなことを気にしなくてもいいわよ。確かに蓮と一緒に過ごす時間を奪われたのには腹が立つわ。でも失った時間はもう戻らない。だから重要なのは過去を振り返るんじゃなくて未来に進んでいくことよ」
「それにオレや香恋が強かったから操りたいって思ったことさ。そう思ってもらえるだけでオレ達は嬉しいからな」
いきなり現れた母さんと父さんは龍ヶ崎にそう言うと龍ヶ崎の表情がなんだか優しいものに変わった気がした。
「もう残された時間は少ないな………。紫電の雷帝これを受け取ってほしい………」
オレが近づくと龍ヶ崎は腕をオレの方に向けた。この場にいるみんなが構えたがオレが構えを解くように合図した。
龍ヶ崎は最後までしようとしていることがオレにはなんとなくわかっていた。
龍ヶ崎からオレに魔力の線が伸びるとそのまま魔力を少しだけ分けてくれた。これだけあるならみんなをまとめて転移魔法を使って帰ることができる。
「帰りの分の魔力をプレゼントだ………」
「確かに受け取った。最後まで世話になったな」
「自分ができることをしただけのことだ………」
龍ヶ崎はそれ以降話すことはなかった。身体がもう光の粒子になっていたから天に召す時が来た。
まだ銀髪のままの優里とマリエル、さらには前の命の巫女の梓さんの三人で生愛の能力を使った安らぎの唄を歌った。
命の巫女や生愛の能力の加護を受ければ龍ヶ崎の魂も迷うことなく天に上っていくだろう。
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