時空の姫

154/154
前へ
/818ページ
次へ
「お母さんまだ生愛の能力を使えるの?」 「生愛の能力はもう持ってないわ。だからマリエルから少しだけ分けてもらったの。使い方はわかってるし、少しだけなら暴走の危険もないからね」 「そうなんだね。てっきりお母さんがまだ生愛の能力を持ってるかと思ったよ」 優里は梓さんに対して笑いながら言うと同時に身体から力が抜けたみたいで前に倒れかけた。 オレが気づいてすぐに支えたから倒れずに済んだが遅かったら今頃騒ぎになってる。知明にもエリスの傍にいるように念話してエリスの隣に行かせるとエリスも優里と同じ結果になった。 「二人ともこんなに能力を使っていたことがなかったから身体が持たなかったのね。これからは私がきちんと鍛えてあげるわ。目標はミッシェル姉さんとルーシー姉さんを超えることよ」 二人が銀髪から元の髪に戻る間にアスカさんはこれからのことを言っていたが二人ともそれどころではなく、疲労のせいで返事すらできないでいた。 アスカさんも元の髪に戻るとみんなに自分が時空の姫であることを説明した。最初は戸惑っていたがカインさんがアスカさんのことをそれでも愛してるから気にしないとみんなの前で言ったらみんなもアスカさんを受け入れていた。 みんながアスカさんを受け入れたところでオレ達は帰ることにした。いつまでもここにいても何もすることはないからな。 「準備はいいですか?」 今回の戦いでシオンさんが負傷したものの結果的には勝利した。だが今回でオレ達はまだまだ弱いとわかった。 エドワードがトップであるメルシアと戦うまでにはもっと強くなっておかないといけない。 オレは絶対に優里、そしてマリとヴィルも護ってみせる。この命を引き換えにしてもだ。 みんなが準備できたみたいなので龍ヶ崎から貰った魔力とオレの魔力を合わせて巨大な転移魔方陣を形成した。 転移先はギルド前。そこに着けばオレ達は休むことができる。早く子ども達の顔を見て安心したい。 そんなことを思いながらオレは転移魔方陣を発動させた。 予想外の出来事が待っているとはこの時は知らなかった。
/818ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7803人が本棚に入れています
本棚に追加