第壱話 歩き出し振り回され 

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商店街には夕暮れ時のために買い物袋を持ったおばさんが沢山いた。 きつい香水や厚い化粧をして、加齢臭と混じり合った独特な臭い… あれが大嫌いだ。 麗奈が向かったケーキ屋は商店街の半ばにある店で、結構人気はあるほうだと思う。 麗奈はチョコレートケーキを4つ、ショートケーキを3つ買った。 太るのでは…?と思ったが口に出したら失礼だし後が怖いから、口は開けなかった。 店から出ると俺と陣にショートケーキを渡した。勿論自分にも… 「ついてきてくれたから」 なんだかんだで凶暴な奴だが、一応…一応は女の子だと思った。 「ん。ありがと」 「ショートケーキ好きなんだよなー」 一口。俺達は同時に食べた。 と、同時に麗奈がニヤリと笑った。 「今、ケーキを飲み込んだわね?」 あぁ。こういう奴だったな。
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