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「ん、手伝ってくれるのか?」
「え、まあ、一応っつうか知り合いの家だし、生存に賭けたい!」
「そうか、じゃあ、手伝うのだ!」
「うん!」
ヘンリーちゃんみたいに髪の毛を触手のように扱えないけど、私は瓦礫の除去を始めるのだった!
「ええと、地下室っつうか地下書庫の場所は確か……」
荒神一家の自宅には、毎日のようにお邪魔していたので、どこに何があるのかってことが、私には手に取るように分かる。
で、地下室――いや、正確なところジャンルや和書、洋書に問わず多数の本が保管されているので地下書庫と言った方が正しいかな?
それはともかく、そんな地下書庫へと通じる階段の扉は一階のトイレがあった場所の側だったな!
でも、そこらへんには特に重量感のある焼けた木材の瓦礫があり、流石に私の力では……。
「ヘンリーちゃん、この辺だよ! ちょっと重い木の瓦礫があるから私には除去が難しいからお願い!」
「うむ、これしきの焼け焦げた大きな木材くらい壊すのに造作もないのだ」
ペロリと口許を舐めるヘンリーちゃんの触手のように蠢く髪の毛が次の瞬間、軽々と焼けた木の瓦礫を持ち上げ、それをひょいひょいと放り投げる。
あはは、流石に自分にはできない常人離れしすぎた技である。
(そういえば正樹が<イースの大いなる種族>とかいう時間旅行種族の戦士型? とか妙なことを言っていたわね)
「お、とにもかくも地下書庫へと通じる扉の上にあった瓦礫はなんとか除去できたね!」
瓦礫を取り除くと、ようやく地下書庫へとつながる扉がその姿を現すのだった。
「よし、開けてみよう!」
私を意を決し、地下書庫へと通じる階段の扉を開けるのだった。
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