序章

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 去年の初秋に亡くなった荒神神一家の長、荒神狂一郎は異常で異質な人間として家族からも忌避されていた。  私や荒神狂一郎の曾孫に当たる幼馴染の涼一は普通に接していたけど、他の家族や周辺住民からは頭のおかしい精神異常者だと思われていたらしい。  そのせいかは知らないけど、いつの頃からか荒神狂一郎は地下に閉じこもるようになった。  そんな彼の居城であった地下書庫には、何年も外に出なくても快適に過ごせるだけの設備や大量の食べ物があったはずだ。  さらに荒神狂一郎曰く、原水爆にも耐えることができる地下シェルターとしても機能しているとのこと。  さて、私の目の前にある堅牢な鋼鉄の扉が地下書庫の出入り口である。
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