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「稜駿、あんた暇やろ?」
「は?決めつけんな」
「そこでボーって座ってる奴は暇人やって決まってんねんで」
「誰がんなもん決めたんだよ!」
「ええからつべこべ言わず来いや!」
ちょっと強引やったかな?
まぁええか。暇人やし、ニセ猪木やし、稜駿やし。
まぁ、特別な感情を持ってるから、っていう理由もあるんやけどな。
「で、どこ行くんだよ」
「今日バレンタインやろ?みんなにチョコ配んねん」
「一人で配れよ」
「あ、次元と元太や!」
「…聞けよ」
猪木…じゃなかった、稜駿の言うてることを無視し続けながら男子戦士に日頃の感謝を込めて配っていく。
みんなは嬉しそうな顔で受け取ってくれて、ウチもほんま嬉しい。
稜駿はため息ばっかりやったけど。(まぁ、ずっと荷物持ちやったもんな)
まぁ、そんなこんなで残りはあと二人や。
「で、あとは誰?」
「照英さんや!」
「もう俺はいい?」
「あ、稜駿まって」
楽屋に戻ろうとする稜駿を引き止めると、まだあるの?みたいな顔でウチを見る。
完全に自分が貰ってないこと忘れてるやろ?
ほんまにアホや。笑
そんな稜駿を見てウチは笑いながら、ラッピングされたクッキーを稜駿に渡した。
「付き合ってくれて、おおきに!これ、アンタの分や」
「おぉ!俺にもあんの?」
「当たり前やろ?」
ラッピングは透明な袋に包んである。
そこから見えたクッキーを見て、稜駿は考えた素振りを見せた。
「なんか嫌いなもん入ってる?」
「いや、この顔って俺?」
「似てるやろ?特にこのアゴ部分…」
「ふざけんなよ~」
「あはは、じゃ照英さんの所行ってくるわ!」
「あ、菜々香っ!」
照英さんの所に行こうと足を進めると、急に稜駿に呼ばれた。
一体なんやろか。
また文句でも言うんかな?
そう考えながら振り返ると、
「さんきゅな!」
―やっぱり―
(稜駿の笑顔が一番好きやなー、)
(なんて思っちゃったわけですよ)
楽屋に戻ると、にやけ顔の次元に言われた。
「稜駿のラッピングのリボンだけ皆と違うんじゃない?」
そう言われて皆を見渡すと、みんなのリボンは青だけど、俺のだけは赤だった。
そんな小さな違いでも、嬉しくなるのは俺だけかな?
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