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照英さんにチョコを渡しに行ったら、お喋りに夢中になっちゃって遅くなっちゃった。
だって照英さんの話があまりにも面白いから。
でも、迎えはまだみたいだし、まぁいっか。
そんなことを思いながら、あたしは楽屋に足を運んだ。
すると、
「あれ、聖夜じゃん。まだいたの?」
「おお、あかり。迎え待ちなんだよね。あかりも遅いじゃん」
゙俺で最後かと思ってだと言う聖夜に、なんで遅くなったのかを話した。
そしたら、あかりらしい、とか言って聖夜は笑った。
暇だったあたしたちは思い出話に花を咲かす。
「聖夜なんて毎日メソメソしてたのにねぇーっ」
「む、昔の話だろ!」
「今じゃしっかりお兄さんだし、背も伸びちゃって。でかすぎっ」
「あかりが小さいんだよ」
「うるさいな」
聖夜とこんなに話したのは久しぶりだなぁ。
最近じゃ、すごいお兄さんになってて、いつも周りには小学生メンバーがいるもんね。(ほとんどからかわれてるけど、)
今では、メソメソばかりの聖夜の姿はもうほとんどない。
嬉しいような、寂しいようなで複雑。笑
「お、もう少しで来るみたい」
「まじ?じゃあ裏口行こっか?」
「聖夜のお母さんは?」
「俺んとこもそろそろ」
「んじゃ行こっか」
そう言って、あたしは帰りの支度を始めた。
カバンに携帯を入れようとすると、余りのバレンタインチョコが入ってた。
「あ、聖夜」
「ん?」
「これ、あげるっ」
「へ?」
「バレンタインだから」
「うお、さんきゅー」
本当に嬉しそうな顔をするから、なんだかあたしまで嬉しくなった。
―強くなった君へ―
(金メダルの代わりに)
(あかり特製手作りチョコを!)
本当はあかりがまだいるコト知ってた。
だからわざと帰りの迎えを遅めに頼んでたんだよね。
一緒に話せることを計算してた、なんて知ったら、あかりはどう思うんだろうな?(まあ言わないけど)
バレンタインチョコなんて期待してなかったけど、まさか貰えるとは…
義理チョコかもしんないけど、やっぱ本命から、あかりから貰えると、かなり嬉しいな。
まだ告白は出来ないダメるのままだけど、いつかは絶対伝えるから。
笑顔で手を振るあかりを見て、俺は心ん中でそう誓った。
今年のバレンタインは最高ですっ!
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