強くなった君へ

2/2
前へ
/10ページ
次へ
照英さんにチョコを渡しに行ったら、お喋りに夢中になっちゃって遅くなっちゃった。 だって照英さんの話があまりにも面白いから。 でも、迎えはまだみたいだし、まぁいっか。 そんなことを思いながら、あたしは楽屋に足を運んだ。 すると、 「あれ、聖夜じゃん。まだいたの?」 「おお、あかり。迎え待ちなんだよね。あかりも遅いじゃん」 ゙俺で最後かと思ってだと言う聖夜に、なんで遅くなったのかを話した。 そしたら、あかりらしい、とか言って聖夜は笑った。 暇だったあたしたちは思い出話に花を咲かす。 「聖夜なんて毎日メソメソしてたのにねぇーっ」 「む、昔の話だろ!」 「今じゃしっかりお兄さんだし、背も伸びちゃって。でかすぎっ」 「あかりが小さいんだよ」 「うるさいな」 聖夜とこんなに話したのは久しぶりだなぁ。 最近じゃ、すごいお兄さんになってて、いつも周りには小学生メンバーがいるもんね。(ほとんどからかわれてるけど、) 今では、メソメソばかりの聖夜の姿はもうほとんどない。 嬉しいような、寂しいようなで複雑。笑 「お、もう少しで来るみたい」 「まじ?じゃあ裏口行こっか?」 「聖夜のお母さんは?」 「俺んとこもそろそろ」 「んじゃ行こっか」 そう言って、あたしは帰りの支度を始めた。 カバンに携帯を入れようとすると、余りのバレンタインチョコが入ってた。 「あ、聖夜」 「ん?」 「これ、あげるっ」 「へ?」 「バレンタインだから」 「うお、さんきゅー」 本当に嬉しそうな顔をするから、なんだかあたしまで嬉しくなった。 ―強くなった君へ― (金メダルの代わりに) (あかり特製手作りチョコを!) 本当はあかりがまだいるコト知ってた。 だからわざと帰りの迎えを遅めに頼んでたんだよね。 一緒に話せることを計算してた、なんて知ったら、あかりはどう思うんだろうな?(まあ言わないけど) バレンタインチョコなんて期待してなかったけど、まさか貰えるとは… 義理チョコかもしんないけど、やっぱ本命から、あかりから貰えると、かなり嬉しいな。 まだ告白は出来ないダメるのままだけど、いつかは絶対伝えるから。 笑顔で手を振るあかりを見て、俺は心ん中でそう誓った。 今年のバレンタインは最高ですっ! .
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加