"濃霧飛行"

5/5
前へ
/65ページ
次へ
「私は兄貴がこの前の仕事で死んじゃったから」 「そ、そっか…何かごめん…」 俺はすぐさま謝る。 「いや、気にしないで。もう兄貴死んじゃったんだし、なら私も兄貴みたいに街のために死んでもいいかなーって」 マツリは淡々と言う。 「変な話してごめんね。それにしたって敵陣にちゃんと着けないと、殉職にもならないんだから、頑張らなきゃ」 「だな、操縦頼むぞ!!」 俺は無理に明るい声を出して言う。 「任せて!!」 マツリがそれに応える。 俺達の飛行機が濃霧に呑まれていく。 辺りはさらに見えにくくなった。
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加