"白の部屋"

2/4
前へ
/65ページ
次へ
目が醒めると、そこは白い部屋の中だった。 いや、白い箱の中という方が正しいのかもしれない。それこそ壁も床も天井もどこもかしこも真っ白。 唯一そうでない点と言えば、僕の目の前に存在する椅子に座る少女と開け放たれた窓。 「あなたもお座りになったらどうかしら?」 少女は自分の前にある椅子を指差し、囁くように言った。 僕は戸惑いながらも首を縦に動かし、恐る恐る腰掛けた。 彼女はそれを見て、静かに微笑み、窓の外に視線を向けた。 真っ白なワンピースに身を包んだ彼女はまるでこの部屋の一部分のようだった。
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加