"白の部屋"

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僕は訊ねる。 「何を見てるんですか?」彼女は黙って窓の外を指差した。 窓の外もこの部屋と同じ、全てが白い世界。それ以外、特徴と呼べるものの全くない景色が広がっていた。 窓の外よりかは、窓の外に向かって伸びた彼女の異常に白い腕の方に、僕は目を惹かれた。 「何もないですね」 僕は言う。 「違うわ。全てあるの」 彼女は言う。
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