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少年はグラウンドの雪の上を、今までに誰かが歩いた跡に沿って、無我夢中で駆ける。
少年はグラウンドの端から歩道に出ることのできる、隠れた"抜け道"を知っていた。
少年は度々振り向き、後ろを気にしながら、"抜け道"に駆け込んだ。
"抜け道"は一本道。
道は、光が少しばかりしか入らないうす暗い道で、雪も全く積もっていなかった。
少年はその道を必死に走った。
それこそ反射的にだ。
特に理由があってのことでない。
入った時には長いと思った"抜け道"も、必死に走った少年にとってはあっという間だった。
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