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『アイツウザくない?』
『好きな人いるとか有り得ないし』
『ねえ…有香は私を裏切らないよね?』
『その手紙……誰に渡すの?』
友達は、口を開けばそれしか言わない様な子だった。
名前なんて呼ばないで。
私も呼びたくないよ。
正直、クラス中で嫌われている子だった。
ただ、
『教室の電気消したいから、早く出て』
と言っただけなのに。
しつこくくっついてきて。
日常がつまらなくなった。
日常が辛くなった。
故に、彼に書くネタがなくなった。
『ねえ有香』
『なに』
『なんでそんなに機嫌悪いの?………ねぇ、…もう知らないから!』
少し無視すると直ぐキレる。
さらにクラスに悪い噂を流して私は嫌われた。
部活以外、救いはなくなった。
家に帰っても冷たい家族しかいない。
部活の2時間は、天国。
他の22時間は、地獄。
万里くんへの感情は、次第に薄れていった。
忘れたのか、封じたのか。
分かることは、心が折れ
体は、限界まで疲労していたことだった。
そんな時に
『私、哀澤が好きなの』
由里の一言が、私を変えた。
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