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「ナトリウムはね、水と反応するんだよ。彼女がナトリウムなら君は水になれば良い。他とは違った反応を見せてくれるんじゃないかな?」
そういって藤野はチラッと中野の方を向いた。空も目をそっちへ向けると、彼女は腕を組んで廊下から外を見ていた。
「でも別に無理して関わろうっていう訳じゃ……」
「ふふ、まぁこの世には避けて通れない道があるからね」
藤野は意味の分からない言葉を残して先程のナトリウムの瓶へ歩いていった。
「それはどういう――」
空は追って尋ねようとしたが、然斗が横から話かけてきたので遮られた。
「さっきのなんだ? 何かしたのか?」
然斗はさっきの一部を見ていたようだ。少し興味があるようで窓から顔を出している。
空は再び藤野の方を向いた。
彼はナトリウムの瓶を閉めて元の棚へと戻すと、空の視線に気付いたらしく、その死んだような目で微笑んでみせた。
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