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何となく中野さんの方を向いてみた。
多分彼女も僕と同じように対人関係で悩んでるはずだ。どうせならこれを機会に友達に……
とそう思ってみたけれど、既に彼女はそそくさと体育館に向かって歩き始めていた。
もともと人と関わろうなんて思っていないようだ。
仕方ない。僕も一人でトボトボ体育館へ向かうとしよう。
そんな暗い気持ちでドアへと向かうと、突然肩を叩かれた。
驚いて振り替えると、やたらイケメンな青年が微笑んでいた。
「仲宮くん……だよな?」
「え……そうだけど」
たしかこのイケメン青年の名前は……日下……だっけ?
「よろしくお願いしますが趣味っていう」
まさかこのイケメンは僕をからかう為に話し掛けたのか!
「は……はぁ……」
それしか言えず頭をポリポリと掻いていると、イケメン野郎は15000円スマイルを浮かべながら言った。
「ハハッ、まぁあのおかしな自己紹介の後だもんな。俺は日下然斗(クサカ ゼント)。然斗って呼んでくれ」
彼はそう言ってスマイルの値段を20000円にプライスアップさせた。
どうやら、からかいに来たわけではないようだ。
正直初対面にこれだけ馴れ馴れしく振る舞うのもどうかと思うが、僕には今、このフレンドリーさが救いだった。
「僕も空でいいよ」
それからは成り行きで然斗と二人で体育館へ歩き始めた。
話を聞いていると、然斗は遠くの中学校の出身で、知り合いが一人もいなかったらしい。
多分、さっきの僕の醜態を見て、関わりやすい人間と判断されたんだろう。
恥ずかしかったけど、これで話相手が出来たわけだ。
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