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「ほら、さっさと並べー!」
スピーカーから突然発せられた大音量に一同は体を跳ねさせた。
いつの間にか体育館のステージに立っていた五津井先生は、さっきまでのスーツをいつの間にかジャージに着替えている。
空の思った通りとてもよく似合っていた。そしてとてもゴツゴツしている。
「凄まじい筋肉だな」
「よく僕の机に唾を飛ばすんだ」
然斗の言葉に苦笑混じりで返すと、彼は笑いながら自分のクラスである六組の並んでいる所へ向かった。
空もそれに付いていく。どうやら並び方に制限はないようなので、適当な所へ腰を下ろした。
「では配っておいた予定の通り、校内案内を行う!」
なんて大きな声だ。彼はマイクを使って話しているが、必要ないんじゃないだろうか。
「校長先生から一言お願いします」
五津井先生がそういうと、ステージの脇から入学式で長話を聞かせてくださった校長先生が現われた。
五津井先生は彼に持っていたマイクを渡した。
「え~、新たな生活を送る上でその舞台となる学校を見学する事は、誠に――」
そこからは聞いていなかった。話が長くなりそうだから。
横を見ると然斗は顎を手に乗せ、眠そうに目を細くしている。このままでは寝てしまいそうだ。
「――というわけで今日のこの時間を有意義に過ごして欲しい。以上」
予想していた程長い話にはならなかった。
校長先生は五津井先生にマイクを返すと、再び体育館の脇へと歩いていった。
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