幻栄の街

3/9
723人が本棚に入れています
本棚に追加
/117ページ
 数分後。 「や、止めにしないか……?」 「そうね……」  大きな岩の影で休んでいた。  当然2人とも息切れしており、汗だくである。  無駄に体力を使い、バテているシャンは水筒の水を呷る。 「やっぱり感情で動くのはいけないな……」 「……あ、夢中で走ってたから道が分からないかも」 「マジで!?」  こんな場所で迷ったとなると命に関わる。  リンは汗を拭きながらポケットから方位磁石を取り出し、北を探す。 「どうだ?」 「なんとか道は逸れてなかったみたい。  だからほら、」  スッと荒野の先を指す。 「ようやくついたな」  砂煙の向こうに小さく建物が見えた。
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!