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シャンは近くにいた山賊の顔面に裏拳を当て、その勢いに乗せ上段回し蹴りを放った。
振り切られた足に弾かれ、山賊は勢い良く地面に倒れ伏す。
それを確認するより前に、別方向からきた横振りのナイフを一歩後ろに下がり、蹴り上げる。
「なっ……!!」
唖然とする山賊の隙を見逃さず、掌底で顎を突き上げて沈めた。
一方リンは一気に相手との間合いを詰め、鳩尾に槍の柄を叩き込み、伸す。
直後に背後から振り下ろされた斧は、素早く防ぎながら下方に受け流した。
斧の勢いに引っ張られるように前のめりになったところに再び柄で一閃。
二人の一連の動きは、全て一続きの型のかのように戦闘の流れに乗り、綺麗にはめ込まれていく。
リンは一旦下がり、シャンの背後を狙っていたナイフを弾き飛ばした。
山賊が怯んだところを見逃さず、シャンが正拳突きをきめる。
あと五人。
「半分ぐらい倒せば逃げるかなと思ったんだけどな」
「返って本気になってきてるね」
リンの苦笑を見て、シャンは面倒さを隠し切れていないため息をつく。
事実、先ほどまで隙だらけだった山賊は間合いを取りながらこちらの出方をうかがっている。
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