知の章

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××53年 8月 長らく記していなかった。 今回の記録は長くなりそうだ。 ××51年 4月 ついに元臣下の天魔が本格的に動きだした。 天魔の部下、5000が城下街を焼き払い、城を囲った。 囲った、といっても、まだ城壁は一枚も落とされていない。 対する将軍様率いる35000は強固な陣を組んでいる。 多少の犠牲はでるだろうが、これならば半日もかからず、制圧できるだろう。 将軍様はご容体が悪く、軍師、三将が指揮をとっている。 皆、私とかわらない程の高齢だが、自信に満ち溢れている。 明朝、5つの城門全てから攻撃をしかけるようだ。 敵陣は迎え討つ構えをとっている。 こちらでは、矢よけの盾が地下倉庫から大量に持ち運ばれている。 紫苑様は何かを悟ったかのように、物静かにみつめていた。 まるでこの先、どうなるか分かっているように。
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