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味方の兵士達が盾を構えたまま前進を開始した。
敵の前衛は、盾の内側から矢を浴びせるが効果はない。
じわりじわりと、距離を縮める。
そして本隊が敵の前衛と衝突した。
敵は反撃を試みるが、多勢に無勢。
どんどん圧されていく。
ホラ貝の笛とともに騎馬隊が城門を駆け抜けて行った。
ふ、と気づいた。
敵は圧されてはいるものの、犠牲はあまりでていない。
まるで引き寄せるように、敵の本陣にじりじりと後退していく。
軍師が怪しみ、城壁から合図の煙をたこうとした時だった。
思い出すのも悍ましい!
敵の陣が火を噴いた。
爆音と共に黒い物体が跳び、着脱と同時に破片を撒き散らしながら破裂した。
次に見た光景は、
焼け残っていた建物も、全てが崩れ落ちた。
地鳴りとともに、北西の4枚の城壁全てが崩れ落ちた。
本隊があったところには、手や足、頭、胴体、何だかわからない肉片が転がっていた。
生き残った兵士達は、何が起こったかわからない様子であたりを見渡したり、手があった所を不思議そうに眺めていた。
噴水のように首から血を吹く死体がなくなった頃。
生き残った兵士達に矢の雨が降り注いだ。
この光景を私達は呆然と眺めた。
紫苑様の泣き声で我にかえった私は、将軍様とお付きの物達を目覚めさせた。
地下の非常通路を通り、城から離れた山の隠れ家にたどり着いた。
そこから目にしたのは。
元人間だった物の上を進軍し、無抵抗の城内に入っていった。
呆然としていた兵士達は討たれたり、何か叫びながら高い所から飛び降りたり、腹を切って内蔵を垂れ流していたりした。
遠くからでもよく見えた。
おそらく全滅したのだろう。
城壁に旗が上がり、城は落ちてしまった。
非常通路は崩したが、すぐに追っ手がくるだろう。
衛兵2人が発狂して、侍女を切り殺した。
冷静を保った衛兵長が2人を静かにした。
将軍様
衛兵38人
侍女4人
医者の私と紫苑様
だけとなった。
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