知の章

11/14

7人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ
味方の兵士達が盾を構えたまま前進を開始した。 敵の前衛は、盾の内側から矢を浴びせるが効果はない。 じわりじわりと、距離を縮める。 そして本隊が敵の前衛と衝突した。 敵は反撃を試みるが、多勢に無勢。 どんどん圧されていく。 ホラ貝の笛とともに騎馬隊が城門を駆け抜けて行った。 ふ、と気づいた。 敵は圧されてはいるものの、犠牲はあまりでていない。 まるで引き寄せるように、敵の本陣にじりじりと後退していく。 軍師が怪しみ、城壁から合図の煙をたこうとした時だった。 思い出すのも悍ましい! 敵の陣が火を噴いた。 爆音と共に黒い物体が跳び、着脱と同時に破片を撒き散らしながら破裂した。 次に見た光景は、 焼け残っていた建物も、全てが崩れ落ちた。 地鳴りとともに、北西の4枚の城壁全てが崩れ落ちた。 本隊があったところには、手や足、頭、胴体、何だかわからない肉片が転がっていた。 生き残った兵士達は、何が起こったかわからない様子であたりを見渡したり、手があった所を不思議そうに眺めていた。 噴水のように首から血を吹く死体がなくなった頃。 生き残った兵士達に矢の雨が降り注いだ。 この光景を私達は呆然と眺めた。 紫苑様の泣き声で我にかえった私は、将軍様とお付きの物達を目覚めさせた。 地下の非常通路を通り、城から離れた山の隠れ家にたどり着いた。 そこから目にしたのは。 元人間だった物の上を進軍し、無抵抗の城内に入っていった。 呆然としていた兵士達は討たれたり、何か叫びながら高い所から飛び降りたり、腹を切って内蔵を垂れ流していたりした。 遠くからでもよく見えた。 おそらく全滅したのだろう。 城壁に旗が上がり、城は落ちてしまった。 非常通路は崩したが、すぐに追っ手がくるだろう。 衛兵2人が発狂して、侍女を切り殺した。 冷静を保った衛兵長が2人を静かにした。 将軍様 衛兵38人 侍女4人 医者の私と紫苑様 だけとなった。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加