知の章

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私達は逃げに逃げた。 さすがの屈強な衛兵達も、倒れた。 私達は死んだ者の肉を食べた。 将軍様、紫苑様をお守りするためならば異端になっても構わない。 骨を丁寧に埋葬し、黙祷を捧げ歩きだす。 ついに将軍様が死去された。 享年72歳 将軍様を火葬した。 後が残らないように、骨が灰になるまで一晩中焼いた。 空中に飛散した脂で顔をベタベタにさせ、再び出発した。 行くあてのない逃走を。 追っ手を振り切り、川を渡り、山を越え、谷をはいのぼり、ここにたどり着いた。 山奥に、ひっそりと元集落があった。 いくつかある建物は半分は使えそうだ。 一際大きな建物があった。おそらく村長の家だったのだろう。 屋根を突き破り、巨木がはえていた。 私たちはここに住むことにした。 辺りには果物の木が生い茂っていた。 近くには地下から水が溢れ、細い川ができていた。 少しの間は、狩りなどで持ちこたえられるだろう。 後に分かったことだが、下流には小さな村があった。 そこから食料を調達することになった。 衛兵8人 侍女1人 医者1人 男6人、女4人 ここで紫苑様を守っていこう。 皆が心に決めた。 これから忙しくなりそうだ。 海棠
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