始の章

5/6
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ
真っ白だった。 何もかもが真っ白だった。 目の前に光る球があらわれた。 『紫苑』 声が響いた。 『すまんな。』 聞き慣れた声だ。 『伝えることがあってな。』 もう聞くはずがない声だった。 『何を泣いている。』 涙が溢れてきた。 『まったく。しょうがないやつじゃ。』 視界がぼやける。 『わしの剣を持って行け。といっても、もともとはお前の物じゃ。』 『あの剣は、お前の本当の父、将軍様より預かった物じゃ。』 『ようやく返すときがきた。』 光が薄くなってくる。 『お前をいつまでも見守っているよ。』 いやだ! いやだ いやだ いやだ いやだ いやだ いやだ いやだ いやだ いやだ いやだ いやだ いやだ いやだ いやだ いやだ いやだ
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!