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遊斗「いてててて…。あの爺思いっきり突き飛ばしやがって」
背中を押されたので頭から鏡の中に入った遊斗は、うつ伏せの状態でそう呟いた。
遊斗「にしても真っ暗すぎ。何も見えねえ…」
鏡の中の世界は全て黒で塗りつぶされていてなにも見えない。
遊斗「自分の手足は見えるのに変な感じだな…」
「おい」
遊斗「おぉい!?」
遊斗はいきなり聞こえた声にビクつく。
「わっはっはっは、すまないな。しかし、驚きすぎではないか?」
遊斗(こんなとこで声かけられたらしゃあないっての…。というかこっちに来てビビりっぱなしじゃねーか…)
遊斗はだれもいない空間を見ながら思う。
遊斗「で、誰だよ?」
「我が名はオロバス、この世界の唯一の住民であり、この世界そのものでもある」
ふと声がした方を見ると、黒いスーツのハットを深く被った男性がいた。
オロバス「そして記録するものでもある」
オロバスと名乗る男は、ハットを深く被り、顔を見せないように俯きながら近づいてくる。
そうオロバスが言うと、世界が黒から白にかわった。
オロバス「アルマンから話は聞いている。早速本題にはいろうか?」
遊斗「俺は何をするか詳しく知らないんだけど…?」
オロバス「構わん、最初は黙って立っていろ」
そうオロバスは言うと、いつの間にか持っていたステッキを軽く振る。
すると遊斗の足下と頭上、計二つの円形の魔法陣見たいなものが浮かび上がった。
遊斗「これは…?」
オロバス「我の創作魔法、<記憶の間(キオクノハザマ)>だ。とりあえず、最低限のことを植え付けさせてもらう」
オロバスがそう言った瞬間、キーンと魔法陣が高い音をたて、発光し始めた。
オロバス「少し痛むが、我慢してくれ」
そうオロバスが言った瞬間、遊斗の頭の中に何かが入ってくる感覚に陥る。
やがて、その感覚は激しくなっていき遊斗は徐々に痛みを感じてきた。
遊斗(くそ、頭の中で何か暴れまわってるみてぇな痛みだ。耐えきれねぇ…)
遊斗はだんだんと、頭に入ってくる情報の渦へと飲み込まれてしまった。
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