知識の追求…

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オロバス「どうだ?大体わかったか?」 オロバスは相変わらずハットを深く被り顔を見せないまま言う。世界は意識を失う前の白の世界だ。 遊斗「ん、まぁまぁかな、闇の徒ってなんなんだ?」 まだ知りたいことがあるのか、遊斗は不満げな顔をしている。 オロバス「それは我から説明しよう。闇の魔力を持つものは、闇の中でこそ真価を発揮できる。そのため世界を闇に覆い、支配しようとしたのが闇の魔力を持つ人間、闇の徒だ。」 嫌な記憶があるように、吐き捨てるように言う。 オロバス「後先を考えず、<厄災の雲>を発動させ、世界から光を奪い取った罪深き者達」 ハットで表情は見えないが、苦々しい顔をしているであろう。 遊斗「で、世界が救われたあと闇の徒はどうなったんだ?」 手を口元に当て、オロバスを見つめながら言う。その瞳は鋭く悲しみを帯びていた。 オロバス「闇の徒は皆、姿を消した。どうなったかは知らない。許されたとなっていたが、闇の魔力をつかう者は全て差別されるようになってしまった。罪深きは闇の徒なのに…な」 と辛そうに呟いたのを見、遊斗は以上話させるのは悪いと思い、止めようとしたが、オロバスは遊斗へ手を伸ばし、発言を止める。 オロバス「我は闇の徒だ。そしておまえは闇を得意とする者。この事は知ってもらわなければならない。」 遊斗は「そうか…」とつぶやくと聞く体勢を続ける。 オロバス「驚かないのだな?」 遊斗「別に、もう闇の徒ってやつももう反省しているだろ?使う者が過ちを犯さなければダイジョ~ブ!」 明るく、自信満々に遊斗は言う。 オロバス「大した自信だな。蔑まされるかもしれないんだぞ?」 遊斗「そんなやつらは知らねぇよ、俺は俺だ。それに、昔の話だろ?今のこの世には道徳ってものを学ばされるからな」 その目には一点の曇りもなく、あるのはこれからの世界への好奇心だけである。 オロバス「ふっ、頼もしいやつだな。やはりアルマンの言う通り才能とは別の何かを持っているようだ」 そういうオロバスの声は、表情が見えていたら笑っているだろう、愉快気な声であった。
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