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……………
一平「で、帰り方はわかったのか?」
すごい剣幕で一平が聞いてくる。
遊斗「…考えてなかった」
一平「あ~あ、また地獄の日々かよ…」
記憶の間から帰ってきた遊斗は、校長室で待っていた一平達から問いつめられていた。
遊斗「おまえ等は教えてもらわなかったのか?」
遊斗が聞くが皆、首を横に振る。
アルマン「フォッフォッフォ、どうせ聞いたところでわかるまい。あの鏡で分かることはこの世界の記憶のみじゃからの」
愉快そうに言うアルマンを一平は恨めしそうに睨む。
玲「それにしても久しぶりだね、遊斗」
一平の睨みのせいか、少し悪くなりかけた場の空気を変えるように玲が言う。
遊斗「おぅ、つっても俺はさっき別れたばかりなんだけどな…。元気にしてたか?」
そう言うと玲は俯き、暗いオーラを出しながら呟いた。
玲「うん、でもこっちの世界は恐ろしいよ。鬼がいるからね…」
遊斗「は?鬼?」
リリア「ほぅ、だれが鬼だって?」
聞きなおした瞬間に、遊斗は世界が暗転する。そしてうつ伏せの状態で腕の関節をきめられてしまった。
リリア「誰が、鬼かと聞いているんだ」
遊斗「いや、言ってないし。誤解だって。ちょ、マジ痛い痛い」
完璧に決まっていて動けないのだろう。遊斗はのこっている手でタップするがリリアは離さない。
アルマン「これ、リリア離してあげなさい」
そこに見かねたアルマンの一声により、何とか自由を取り戻す。
リリア「次、言ったら殺すからな」
ピリピリとした殺気に遊斗は恐怖を感じた。
遊斗「て、てか夏生門と大樹は?」
今、この部屋にいるのは、アルマン、遊斗、リリア、一平、俊、玲
こっちの世界に来ているはずの二人が足りない。目線から逃れるように遊斗は言った。
俊「リリアがここにいるということは、今頃死んでるんじゃないか?」
俊の言うことが理解できずに遊斗は首を傾げる。
アルマン「おぉ、言い忘れておったが、おぬしらの入学まで後2週間。勉強の方は記憶の間のおかげで大丈夫じゃ。しかし、魔法や戦闘などの実力ができておらん。」
ニヤリとして言うアルマンに、遊斗は嫌な予感がしてならない。
リリア「そこで私が、コーチとして指導している。お前は遅れているから、日が出ている間は自由などない」
遊斗は何故、もとの世界に帰れる方法を聞かなかったのか、と後悔した。
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