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番外編 第2ボタン
卒業式が終わり最後のHRが終わったあと、少年は図書館に向かっていた。
そこにいるとは限らない、だが何故かいるような気がしていた。
図書館のドアを開ける。
ひとけのないがらんとした図書館
そこに彼女がいた。
いつものように
だが今日が最後の日であった。
この当時、ケータイどころかポケベルもなく連絡手段は家の電話しかなかった。
かけれるはずがなかった。
今は友達に戻れたとはいえ、一度破局した彼女に連絡する勇気は彼にはなかった。
これが小学生の頃から好きだった彼女の別れになると少年は気づいていた。
小中高と同じ道を歩いてきた少年と少女は、これから別の道を歩きはじめる。
二人はいつものように取りとめのない会話をした。
「せっかくの卒業式だしこれやるわ」
少年は自分の制服の第二ボタンを外すと少女に渡す
「うん」
少女は確かに受け取った。
返されるのではないかと不安だった少年はほっとする。
これが二人の最後のイベント
「じゃあな」
「うん、バイバイ」
こうして二人は高校を卒業し、それぞれの道へ進んだ。
(さよなら、俺の愛した人)
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