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頬杖をつきながら両親の話しを聞く。 父親の出張で唐突だけど明日、この町からおさらばするらしい。 私の心境は複雑だった。 この町は楽しかったし、皆良い人だったし、先生も居たし。 引っ越せば関わりが消える。 忘却のように思い出も薄れる。 『急で本当にごめんな。 荷物も今日中に片付けといてくれ』 「分かった…」 私はおもむろに立ち上がると、階段を逃げるように駆け上がり自室へ駆け込んだ。 「…呆気なさすぎだし………」 独り言、及び小さな不満を吐き出す。 枕に顔を埋めて唇を噛み締めた。 涙は出てこなかった。
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