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阿修羅の狭間
「おい、レヴ」
耳元でレクヤの声がした。
レヴは重い体を起して頭を掻いた。
ソファーに体を沈めたまま、レヴはレクヤを見上げる。
何事か、と問いかけるように。
レクヤは何やら困った顔をしていた。
「無防備すぎだ……」
「は?」
いきなりの忠告にレヴはきょとんとした顔をして思い切りレクヤを見つめた。
熱でもあるんじゃないかとレクヤの頭を触ってみたものの熱などない。
寧ろ、この寒さで多少冷えている。
レヴは最近になって、漸くレクヤとアイコンタクトでお互いが言わんとしている事が
分かるようになってきた。
だが未だ浅い。
否、レクヤがそれを拒んでいる。
仲間でありながらもどこか一線を引いているのだ。
レヴにはそれがわかった。
だけど敢えて聞かないことにしている。
お互いが果たそうとしている使命は一つ。
それだけ。それだけの関係なのだ。
だから余計な干渉は必要ない。
「んー。オレ寝てても一応いつでも臨戦態勢には入れるから」
ただ一言そう言ってニィと笑う。
レクヤは少し恥ずかしそうにして、「そうか」と呟いた。
それから暫く沈黙。
レクヤは口を開こうとして唸った。
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