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僕のお婆ちゃんは目の前で殺された。
黒服の男が僕とお婆ちゃんが居る部屋に土足で入って来た。金を出せって。
もちろんお婆ちゃんは出てけ出てけっ。って言って男の人を家から追い出そうとした。
男が出て行かなくて、お婆ちゃんが杖で男を叩くと男は物凄く怒って持っていたナイフでお婆ちゃんの腹部を深くを刺した。
血が出てる。
男はそのままお婆ちゃんを足蹴にし、何回も年月と共にひ弱になったお婆ちゃんの体を踏みつけた。
ドピュッドピュッなんていいながら踏みつける度に傷口から血が溢れてくる。
僕はというと部屋の隅に引っ込んで、わりと落ち着きながらそれを見ていた。
その時はまだ、『死』って事が理解できなかったのかもしれない。
不意に男が僕に顔を向けて口端をあげてニタニタ笑っていた。
「ぼうや、オジサンにお金出してくれないかな? 」
僕は男の顔をじっと見つめて動かなかった。まだ子供だったから言ってる意味がよくわからない。
何にも動じない僕に痺れを切らした男が僕に近付いて暴言を飛ばしながらナイフを向けてくる。
そのナイフにはお婆ちゃんの血がべったりと付着したままで、タラタラと赤い滴を垂らして僕に向けられている。
男が僕の胸にナイフを突き刺そうとした。
普通なら小さな僕は訳がわからぬまま痛みに悶え苦しんで死ぬのが当たり前であり生還できるなど夢のまた夢でしかないはずだった。
なのに場は一転して翻った。
男は僕の目の前で倒れていて、こめかみからはドクドク血が溢れ出していて止まらない。
僕はさながら血を浴びた。
『君、大丈夫カナ?』
今度は綺麗な黒コートの男の人が銃を持って僕の前に立つ。
僕は小さく頷いて男の人の顔を見た。
『大丈夫だよ』と、言い。
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