夜のメンバー

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「社長、今何時?」 しばらくして、羽衣が着替えて来ると、広樹が蛍にそう聞いていた。 「ん、もうちょっとで4時かな。」 「4時・・・。」 羽衣はふと冷蔵庫の中を思い出した。 昼食で食材を使ってしまった為、空っぽになっていたはず。 「あの、ご飯何がいいですか?」 羽衣が聞くと、皆が一斉に口を開いた。 「僕、ハンバーグ!」 「僕はパスタかな。」 「俺中華がいい!」 「俺は久しぶりに羽衣の和食が食べたい。」 え?え?え?と羽衣は困ったようにキョロキョロする。 「あの、1つに決めてください。」 苦笑しつつ羽衣が言うと、たちまちじゃんけんをし出した。 「あ、勝った。」 広樹がグーを掲げて、パスタよろしく、と羽衣に笑顔で振り返った。 「「「はぁ・・・。」」」 残念そうに負けたメンバーはチョキを出したまま俯いた。 「日替わりの献立で絶対出しますから!」 ね? 首を傾げて慰める羽衣に、歩は嘘泣きしながらジリジリと近づいた。 「羽衣ちゃんがキスしてくれたら諦めるぅ。」 ギュウっと抱き締めながらキラキラした目で歩は羽衣を見つめる。 きゅうぅうん! あまりの可愛さにドキドキしたのと、抱き締められているのとで、羽衣は動けなくなってしまった。 にやり、と歩は黒い笑みを浮かべ、羽衣に顔を近づける。 「いっただきまぁす!」 「「ダメだっっ!」」 その瞬間、健太郎と楓が羽衣から歩を引き剥がした。 「え~、何がダメなのぉ。 羽衣ちゃん嫌がらなかったじゃんかぁ。」 舌打ちして、しぶしぶ歩は羽衣から離れた。 「・・・していいことと、悪いことがある。 行くぞ、羽衣。 買い出しだ。」 すっ、と唯は羽衣の手を取り、部屋から出ていった。
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