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「そうなのか?」
「そうですよ。少し前までは乗ってましたから。」
フランカ上等兵はそう言って右手を上げて振り始めた。
「アンダースン隊長!
軍港派遣部隊が、発進し始めました!!」
「お、そうか!」
「頑張れよー!」
「気を付けろよ~」
整備兵や居残り組の搭乗員が口々に叫びながら、手や帽子を振ったり、敬礼しながら見送る。
それに軍港派遣部隊の搭乗員達が敬礼で返しながら発進していく。
フランカ上等兵は手を振り、そして呟くように言った。
「スピットファイヤーは確かに優秀な機体です。しかし巴戦では隼に負けますし、宙返り中にエンストしたりします…。
それに――」
フランカ上等兵の最後の言葉は頭上を飛び越した隼のエンジン音で、掻き消された。
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