ガンダム

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「一体何が・・・?」 「ほんと、何があったのかしら。 面白いし、ちょっとお嬢さまに言ってくるわ」 「えぇっ!?片付け手伝ってくれないんですか?」 「片付けと言ってもね・・・こんな重たそうな物、私たちだけじゃ動かそうにも動かしようがないでしょう? じゃあ、そういう事だから私はお嬢さまのお部屋に行くわ」 後はよろしくね。と言い残してエプロンドレス姿の女性が館内へと歩いていく。 後に残ったのは呆然と立ち尽くす私と、変わり果てた中庭に倒れこむ謎の巨大ロボットだった。 花壇には地面を深く抉ったような痕跡がある。 コイツめ。中庭でスライディングでもしたというのか。 タイガーバームガーデンのように美しかった庭園は、今では円明園の西洋楼遺跡のようにボロボロだ。 ひどい。ひどすぎる。 花弁が吹き飛ばされただけの場所は時間が経てば復活してくれるだろうけど。 巨大な足跡に踏み倒されたチューリップ畑は、元に戻るまでかなりの時間がかかりそう。 そしていっちばんひどいのは! 何年も何年も研究を重ね、ついにはとっても怖いので近づきたくなかったひとの協力も借りてやっとのことで花をつけたユリ畑が跡形もなく吹き飛んでいることだ。 可憐な花々の美しい香りは情け容赦なく消滅していて、それどころか鉄が焼け焦げたような臭いが充満してどこの戦場だここはーっ!と言いたくなる。 水滸伝じゃあるまいし、こんなのはほんとに災難だ。 まだまだお花が綺麗に咲く時期なのに、私ってもしかしたら不幸体質なのかもしれない。 こんな悲惨な状況で後はよろしくって、一体私にどうしろと言うんですか咲夜さん。 仕方がないので、その巨体を観察してみる。 ロボットは仰向けに倒れていて、どういう姿をしているのかわからない。 体に巻かれた外套がいやに特徴的だ。 ・・・きっと、これは科学者きどりの河童たちが造りだした怪しくて迷惑千万な機械に違いない。 紅魔館の裏にある山には、機械好きの河童が住んでいる。 以前に見たときは宇宙戦艦がなんたらとか言っていたので、その副産物みたいなものだろう。 動いてすらいないのに迷惑をかけるなんて、さすがは河童製だ。
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