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「あたしさ、【おとこおんな】卒業する」
「いや、無理だと思う」
即答。
その反射神経にアスリートもびっくりだぜ、雫ちゃんよ。
「どして?」
「どうしてって…自分で無理そうなのわからない?…ああわからないから聞いてるんだったどうしよう」
…
絶対バカにしてるなこいつ。ニヤけ方が善じゃない。
「じゃあ宣言してやる!!あたしは今日から『しゅうじょ』になるっ!!!」
ガタンと音を出しながら立ち上がって高らかに宣言したあたしに、雫は
「…しゅうじょ?」
そして教室の空間が止まる。
雫は少し笑いをこらえた様子でこう言った。
「…っそ、それってしゅくじょ(淑女)の間違いじゃあ」
「ぎゃははははっ!!!!しゅうじょってなんだ!!?【醜女】か!?それなら宣言せずともなっているから安心したまえ」
と一通り笑い終えた夕貴がまるで『ドンマイ☆』とでもいうようにあたしの肩に手を置き、
教室に爆笑が起きた所で、
怒りと恥ずかしさを全てこいつにぶつけるべく、一限前に既に第2Rに入るのだった。
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