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1.
景色が目まぐるしく流れて行く。
今、霧雨魔理沙は森の中を愛用の箒に跨り、宙を疾走していた。
追いかけるように二つの人型が地を駆ける。
一体は筋骨隆々の三角形の頭を持つ巨漢。
もう一体は二足歩行の狼男の風貌をした妖怪である。
それを振り切る為に速度を上げながら、彼女は口の端から舌打ちを漏らす。
かれこれ10分以上続いている命懸けの鬼ごっこは一向に終わる気配が無い。
幻想郷屈指の速さを誇る彼女でも、背後から迫る影から逃げ切るのは容易な事では無かった。
―――ガイアメモリ。幻想郷の実質的な長、八雲紫と、弾幕ごっこの創始者である博麗霊夢が発した弾幕ごっこのルール改正に伴って爆発的に普及した魔法のような道具。(魔法が存在する幻想郷でこの表現は些かおかしいが)
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