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あたしが捕まえようとしても逃げてばかりやから、綾乃は無視することにした。
「いいよなぁ蘭はいつも吉崎くんと一緒で」
「でもまっちゃん部活してる時以外は無口で、楽しくもなんともないよ」
蘭はあまり吉崎くんのことが好きではないらしい。あんなにカッコイイのに…
「別に顔さえ良けりゃ少しくらい性格悪くてもいいやん。」
「ホンット、真矢って面食いやね」
綾乃のため息がやけに大きく聞こえた。
「無視せんといてぇ~」
綾乃があたしに泣き付いてくるから、はいはいと言って仕方なしに付き合った。
春とは言え、朝方や夜はまだまだ肌寒い。しかしこの二人といると自然と暖かくなる。
「じゃあ、また明日!!」
「じゃーねーっ!!」
「ばいば~い!!」
あたしの家は二人と別れてから歩いて5分もないところにあるが、すごく長い道のりのように感じる。
「ただいま~」
「おかえり」
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