第1話

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男「ぐあぁあああ!!!」 悲痛な声をあげて男から血が出る 血は男が倒れた所にどんどん広がっていき最後の力をふりしぼって男は手を目の前の返り血がついた少女に向かって伸ばしたが・・・届かないまま男は死んだ ポタッ・・・ポタッ・・・ 男を斬った剣からは男の血が滴となって地面に落ちたいった 剣の他に服や顔に返り血がついている少女はその深紅の瞳で動かなくなった男を見ていた 少女の名前は「火野麗」 長い髪に深紅の瞳が特徴で手には血がついている剣を持っている 麗「・・・任務完了」 麗は顔についた血を拭くと死体をそのままにして歩く出した 歩いていると前方に青年が立っていた 青年の名前は「火野昴」 短い髪に麗と同じ深紅の瞳が特徴的な青年だった 昴「麗、任務は終わったみたいだな」 昴は麗に向かって優しい声で言った 声に気付いた麗は昴を見ると一度頭を下げた 麗「兄様、来ていたのですか」 兄様と呼ばれた昴は麗の目の前まで歩いて近寄ると麗の黒くて長い髪を撫でた 麗「兄様、血がついてしまいます」 昴「かまわないさ、今日はもう帰るんだろう?」 麗「はい」 コクッと頷く麗を見てから昴は手を引いて家へ向かって歩き出した 2人が家につくと部屋に入った その部屋には2人の父親がいた 父は2人が入ってきたことに気付くと見ていた本をしまって2人を見た 父「麗、任務ごくろうだったな」 父の鋭い目は麗に向かっていた 威圧感を持つ目を向けられた麗は少しビクッとなって父を見た 麗「はい。剣を貸していただきありがとうございました」 麗は帰る途中に血を拭いておいた剣を父に渡した それを見ていた昴は父に向かって口を開けた 昴「父さん、今日の任務は麗が行かなくても俺が!」 父「昴、お前は殺せるのか?」 昴「それは・・・」 「殺せる」という言葉を聞いた昴は黙ってしまった 昴は人を殺したことがない 普通の人なら殺したことがないということが当たり前だがこの家は違う この家のほとんどの人が人を殺している その中で殺した事がないというのは珍しいのだ 父「まぁいい、今日はもう休め」 父はまた本を読み始めた それを見た2人は静かに「失礼しました・・・」と言って部屋を出た 部屋を出てからも昴は元気がなかった 麗は心配していたが何を言ってやればいいのかわからなくて2人は何も言葉を交わさないで各自の部屋に入っていった
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