第5話『夏と海』

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「よかったら向こうで話さない?」 「あ・・・でも・・・」 内田が困った顔で俺を見てきた。 「おい。俺がいること知っててそんなこと言ってんのか?」 「何?あんた、この子の何なの?彼氏?」 「・・・・・・・・」 「み・・・宮川君・・・わ、私・・・」 「どうなんだよ?」 迷ってる時間なんてなかった。俺はただ言えばいい。そうすれば内田を助けられるんだ。 「あぁ、彼氏だ」 「そうか。ならちょうどいい。この子もらうわ」 男は内田の手をつかんで連れて行こうとした。こいつ、そこらにいるナンパ野郎じゃなさそうだ。 「おい待てよ。彼氏の前でいきなり彼女連れてく奴がいるかよ」 「守るわけ?」 「当たり前だろ」 こいつ・・・何が言いたいんだ。 「昔・・・いや、2年前だっけなぁ。あんた、彼女亡くしてんだろ?名前は確か・・・『杏』だっけ?」 「!?」 「交通事故で彼女を亡くしたらしいね。あんた、その彼女にも『守る』って言ってたんだろ?守れてないじゃん。よく言えるよね」 「・・・・・おい」 「今じゃあ、また違う彼女作ってるしなぁ。また交通事故でもあうんじゃね?」 「・・・テメェ」 「君もやめといたほうがいいよ?こんな男」
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