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「よかったら向こうで話さない?」
「あ・・・でも・・・」
内田が困った顔で俺を見てきた。
「おい。俺がいること知っててそんなこと言ってんのか?」
「何?あんた、この子の何なの?彼氏?」
「・・・・・・・・」
「み・・・宮川君・・・わ、私・・・」
「どうなんだよ?」
迷ってる時間なんてなかった。俺はただ言えばいい。そうすれば内田を助けられるんだ。
「あぁ、彼氏だ」
「そうか。ならちょうどいい。この子もらうわ」
男は内田の手をつかんで連れて行こうとした。こいつ、そこらにいるナンパ野郎じゃなさそうだ。
「おい待てよ。彼氏の前でいきなり彼女連れてく奴がいるかよ」
「守るわけ?」
「当たり前だろ」
こいつ・・・何が言いたいんだ。
「昔・・・いや、2年前だっけなぁ。あんた、彼女亡くしてんだろ?名前は確か・・・『杏』だっけ?」
「!?」
「交通事故で彼女を亡くしたらしいね。あんた、その彼女にも『守る』って言ってたんだろ?守れてないじゃん。よく言えるよね」
「・・・・・おい」
「今じゃあ、また違う彼女作ってるしなぁ。また交通事故でもあうんじゃね?」
「・・・テメェ」
「君もやめといたほうがいいよ?こんな男」
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