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ねえ、おにいちゃん。
キス、してみよっか……?
そんなわけで、今ここに至ります。
なんとなく、抱きしめたら負け。
そんな気がしてなりません。
いや、そんなことよりも。
これは僕が望む展開じゃない。
マリア様が見ているのなら誓ってもいい。
望んでない。
では、冷静な僕に戻るために集中しましょうか。
人間何事も集中力が大切なんです。
ちなみにここまで0.4秒。
そんなわけで、おそらく十秒ほどで、僕は冷静さを取り戻しました。
冷静になりさえすれば、あとはカップ焼きそばのお湯を捨てる作業より簡単です。
僕は天野の頭を軽く、コツンと殴りました。
シグナム姉さんがリインフォースを殴る感じです。
「そういうの、ふざけてやるもんじゃないぞ」
将、いたい……。
そんな声が脳裏を横切って。
天野は僕から離れました。
「えへへ。ごめんねー、おにいちゃん。びっくりした?」
「子供に抱き着かれても、なあ?」
ウソです。
全力でビックリしました。
葛藤の激しさは、僕の人生
トップクラスです。
「相変わらずヒドイよねー、おにいちゃんは。ま、しょうがないかー」
「じゃ、送ってくれてありがとう。おにいちゃん。またねー」
走っていく天野の後ろ姿を眺めながら、僕は取り残されました。
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