リアル鬼ごっこ、佐藤は減らない

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うはは。 仲間探せですってよ。 転校生の僕には無理ってなもんですよ、はい。 で、そんな無理難題を押し付けやがった高峰が、 今僕に話し掛けているんですよ。 今日は弁当じゃないのか、という感じの質問だった気がします。 「たまには、な」 基本野郎には心からドライでいきます。 盛大なごまかしです。いつも弁当だったんですね僕。 「そうか。ならたまにはメシ抜きでも構わんだろう。こい、柏木!」 ぱーどぅん? メシ抜きってそれなんてイジメ? その前にどんな理屈だよそれ! 「いやいやいや、バカ言うなよ。メシは人間の楽しみのひとつだろ」 「お前こそバカを言うな。この世にはな、三食捨てても成さねばならないことがあるんだっ!!!!」 そして言及する間もなく、高峰は僕の首に腕を回しました。 チョークスリーパーとヘッドロックを、足して二で割った感じでしょうか。 僕はそのまま拉致されました。 それにしてもですね。 「痛い! 高峰痛い!! 痛いから離せ!!」 「やかましいぞ、柏木。お前にはこれから、我が校の美少女について学んでもらおうか!」 美少女…………? え、何この予想しやすいパターン。 どうせ月森とか天野とかが出てくるんだろ? 期待しまくりだよ、この野郎! いや、裏をかいて新キャラか! 大丈夫。 僕は主人公だから気に入られるはずですよ。 そうでなければツンデレに違いない! かくして、首に痛みを覚えたまま連れられた場所は、2年C組。 そして、高峰の絞め技から解放された僕の目の前には、 月森美咲がいました。
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