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私は…
見てしまった
ドラゴンを…
凄く大きな、見上げる程も大きなドラゴンを…
「ばッ…
何やってんだ!?
隠れろ!!」
『もう遅い』
もう見られちゃった
─「帰れ」
ドラゴンがはき捨てる様に言った
そのエメラルド色の瞳で私を見つめながら…
…何か
怖くない…
普通のドラゴンなら
多分こんな風に目の前にいる事すら出来ないんじゃ無いかな…
─「聞こえないのか
娘」
「立ち去れ」
………
『あ、あのッ!!』
「何してんだよ!?
相手はドラゴンだぞ?
帰れって言ってんだから
帰るぞ」
『でも…』
─「立ち去れ」
「ほら
ああ言ってるし」
…いや
だって
あんなに悲しそうな声で吠えてるからには、何か理由があるはず…
気になる…
凄く気になるんだ
「勇者さま
行くぞ?」
動かない私に
呆れたようにカインさんは肩をすくめた
─「どうしても
立ち去らぬと言うのなら…
仕方がない…」
ドラゴンが
ゆっくりと起き上がった
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